数週間ほど前のいつもと変わらない日曜の朝。

朝食を食べ終えて一息ついた頃、長女が「テレビ見たい!」と言うので許可を出した。

うちの娘たちは何故かプリキュアにも戦隊物にも特別な執着が無いため、日曜の朝必ず見るテレビ番組というのは決まっていない。

その時たまたま放送されているものを何気なく見るスタイルだ。

長女がテレビの電源を入れると、見覚えのあるアニメが放送されていた。

おっ?これはゲゲゲの鬼太郎ではないか?懐かしいな~。再放送中なのか。



と思ったが、よく見ると画質もきれいだし絵柄もどことなく今っぽい。そう、どことなく今っぽい。

例えば、鬼太郎の髪のツヤ感、質感なんかが妙に今っぽい。サブキャラの人間たちも実に今風で繊細な絵のタッチだ。

そう、これは再放送ではなく、ゲゲゲの鬼太郎・第6期の最新作なのだ!ということに気付くまで時間がかかった
(私の中でのゲゲゲの鬼太郎は3期か4期あたりで停止していた)

久しぶりに見るゲゲゲの鬼太郎(以下ゲゲ鬼太)につい見入ってしまう私。子供たちも引き込まれるように画面を見ている。



そこに、何やら見慣れない美女が登場した。

見慣れない…いや、違う。見覚えがあるぞ…?

この赤いリボン、白いシャツ、赤いジャンパースカート…

お前は誰だ!!



はっ!!まさかこれは…ねこ娘!?

このモデル級の八頭身美女が…まさか…あのねこ娘だと??!!

思わずコーヒーを吹き出しそうになった(コーヒー飲んで無かったけど)

切れ長の目に小さな顔、すらりと伸びた手足、赤いハイヒール…

私は動揺を隠しきれなかった。

私の知っているねこ娘は、もっとこう…不美人で幼児体型でイモ臭いキャラだったぞ!!(←お前が言うな)

それが何故!!

何故突然こんなツンデレ萌えキャラ化してんだよ!!


私が知ってるねこ娘。



激しく取り乱す私をよそに、子供たちは普通にゲゲ鬼太を楽しんでいる。

そう、この子たちにとっては、これが初めてのねこ娘。

この子たちにとっては、ねこ娘=今画面の中にいる八頭身ツンデレ美女以外の何者でも無い。そこに疑問を抱く理由など何一つないのだ!!



同世代の夫に「これは一体どういうことか!?」と詰め寄ると、夫は冷静に

「成長期だったんじゃないの?」

と言い放ちやがった。



成長期!?

…あぁ、そうか、成長期だったのか…

女の子は女性ホルモンの影響で10歳くらいから体が変わり始めるっていうもんね…

私が知ってるねこ娘は、まだ小学校低学年くらいだったんだね…

それが、私がしばらくゲゲ鬼太見てないうちに第二次性徴を迎えて、大人の女性に一歩近づいたんだね…

ただそれだけのことなんだよね…別に驚くことじゃないよね…

ていうか妖怪にも成長期とかあるんだね…

その割に鬼太郎はあんまり成長してないよね…ちょっと毛ヅヤ感良くなっただけだよね…

背も伸びてないしね…

ちょっと毛ヅヤのいい毛針飛ばせるようになっただけだよね…


毛ヅヤのいい鬼太郎。



必死に自分を納得させようとしたが、私の心のざわつきは抑えきれなかった。

うがぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!!

もう見てられん!!

あんなのねこ娘じゃない!!

私の知っているねこ娘を返せ!!

もう見てられん!!

あんな八頭身美女はねこ娘と認めない!!

絶対に認めない!!でも見たい!!

いや、見たくない!!でもなぜか見たい!!

なんか気になる!!受け入れられん!!

でも…はっきり言って…このねこ娘…

嫌いじゃ…ない…!!!!


かわいいやんけ。



私が一人で悶絶しているうちにこの日の放送は終了。

長女も「あぁ面白かった~!」と満足げだ。

エンディングテーマがやけにオサレな曲なのが気になった。

レキシじゃないか…最近のゲゲ鬼太はこんなに今風になっていたのか…

(ちなみにオープニングはおなじみの主題歌を氷川きよしが歌うバージョン)



強烈な「ねこ娘ショック」のせいで放送終了後も家事が手に付かない私。

水木しげる何やってんだよ!!

ていうか水木先生はもう亡くなってるよ!!

どうせ水木先生がいないのをいいことにアニメ制作会社が好き勝手にキャラクター変えてるんだろ!!

と思った私はいてもたってもいられず、第6期で突然ねこ娘が八頭身になった経緯をググってみた。

すると、意外な事実が判明した。



まず、ねこ娘を八頭身萌えキャラにしたのはただ単に視聴者の受け狙いではなく、ゲゲ鬼太制作を務める東映アニメーション内で、第6期の人間ヒロイン「犬山まな」との違いを出すためにどうするかという真面目な議論を重ねた末に出た案であること。

そして水木プロが「東映アニメさんを信用していますからOKです」と、この案を快諾したこと。

意外とちゃんとした理由とちゃんとした経緯を経てあの八頭身ツンデレねこ娘が誕生したのだな…

それを知った私は安堵のため息をついた。

そして思った。

「八頭身のねこ娘も…嫌いじゃ…ないょ…」と。




毛針発射ボタン置いておきます。
にほんブログ村 子育てブログ 発達障がい児育児へにほんブログ村 主婦日記ブログ ひきこもり主婦へ
押すと幸せになれます(私が)