チャッピーの運動会が、終わった。
昨日の私は相変わらず心身ともに絶不調だったから、正直今日は無理だと思った。
…家で寝ていたい…
そんな本音が頭をよぎった。
しかし「ママ!明日頑張るから応援してね!」「ママ!お弁当は鮭のおにぎりにしてね!」と大はりきりのチャッピーの笑顔を見て、決意した。
…行かねばならぬ…這ってでも。
実際に這って行けば、片道40分はかかるだろう。膝もボロボロになる。
誰か担架で学校まで搬送してくれないだろうか。
その後は校庭の隅にお布団をしいて、寝ながら応援したい。
そんなことを本気で考えていた。
弁当も、おにぎりしか作れないかも知れないと。
夜も、疲れているのに興奮してなかなか寝付けなかった。
しかし、無情にも朝は来た。
ぐずぐずするチャッピーをつい怒鳴りながらも何とか支度させ、先に登校させた。登校の付き添いは夫が担当してくれている。非常に助かる。
その後、弁当作りにとりかかった。
鮭のおにぎり、洗っただけのプチトマト、茹でただけのブロッコリー、炒めただけの赤ウインナー(タコさんにする予定が切り目を入れ忘れてただの赤いウインナーになった)、
そして、チンするだけの唐揚げ。
これでも、私の能力の全てを出しきった力作だ。
気付けば、もう開会式の時間が迫っていた。
チュッパを幼稚園の一時預かりに送り出した夫はまだ戻らない。
化粧も適当、服も適当で、大慌てで荷物をつめて、家を飛び出した。昔から遅刻癖が治らない私は、いつもこうだ。
学校までひたすら走った。「絶対に応援に行くからね」とチャッピーと交わした約束を守るため。
気分は「走れメロス」のようだった。
小学校からはすでに、入場行進の放送が流れている。
…急げ…!!もう猶予は無い…!!
体力の無いアラフォーの息はすぐに切れた。何度もぶっ倒れそうになった。
なぜ保護者のくせに、朝から汗だくで全力疾走しているのか。
しかし私は、そんな自分に多少酔っていた。
…娘との…娘との約束を果たすために…!!
フラフラになりながら学校に着いた時には、もう入場行進は終わっていた。
許せチャッピー…母は…間に合わなかった…
…でも…全力で…走ったょ…
愛する娘のために…限界を…超えたょ…!!
私はチャッピーが、練習を嫌がって時々さぼっていたのを知っている。
支援級の担任の先生が、無理のない範囲で練習に参加させるように工夫して下さったおかげで「本番だけはしっかり最後まで参加する!」とチャッピーの気持ちを上手く持ち上げてくれた。
無理に「練習には絶対参加!」と厳しい課題を課していたら、おそらく途中で折れてしまったと思うが、さすがに支援学級を何年も受け持っていたベテラン先生だ。
そんな先生方の努力を無駄にしてはいけない。
そして何よりチャッピー自身の頑張りの成果を、しかとこの目に焼き付けるのだ!!
そして、運動会は始まった。
母は、弁当作りと開会式までに学校にたどり着くことで全エネルギーを使い果たした。
…今すぐここにお布団をしいて横になりたい…
流れる雲を眺めながら、私はそんなことを考えていた。
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