長女のことが、憎たらしくてたまらない時がある。
理解不能な言動。
常人には受け入れがたい思考回路。
人の話を聞かない。
言葉は通じるはずなのに、噛み合わない会話。
一方的に浴びせられる言葉。
何度も、何度も、何度も、何度も、繰り返される質問。
物への異常な執着。
物欲の塊。
近過ぎる距離。
片付けても片付けても、あっという間に散らかされる部屋。
衝動性を抑えられずに、周囲を散々振り回す。
言葉は話せているのに、聞こえているはずなのに、普通のコミュニケーションが取れない。
障害特性からくるものだとわかっていても、毎日続くとさすがにキツい。
今日も理不尽な要求をしてきた。
ダメな理由を言い聞かせても通じない。
口応えと反抗ばかりが一人前になってきた。
わざとなのか無意識なのか、人の神経を逆撫でするのが上手。
親をイライラさせる天才。
なんなの?殴られたいの?
思わず首をひっつかんで軽く揺さぶっていた。
そこで「ごめんなさい」と泣いてくれるような子なら良かったのに。
泣くどころか、負けじと睨み返してくる。
力いっぱい、自分の要求を訴えてくる。
衝動に突き動かされて、何も見えなくなっている目。
その姿が、その様子が、大嫌いな兄にそっくりで。
恐ろしいくらいの嫌悪感がわいてくる。
憎悪。
消えて欲しい。
我慢ばかりしていた子供の頃の自分が、頭の中でうわーって叫んでる。
でもここで踏みとどまらないと、取り返しのつかないことになる。
「もう勝手にしろ!」と捨て台詞を吐いて、長女から離れる。
あぁ良かった。
なんとか今日も、この子を殺さずに済んだ。
これが、我が家の日常茶飯事。
殺るか、殺られるかくらいのギリギリの場面がたまにある。
中学生の頃、私は兄を殺そうとした。
料理の中に洗剤を入れて。
でも、死んでくれなかった。
量が足りなかったのかな、平気な顔で食ってた。
万が一死んでも、正当防衛が認められたかな。
誰も助けてくれないから、自分で自分の身を守るしかなかったんだよ。
母親はあてにならない。
父親は出稼ぎ労働に出ていてずっと不在。
母は私の話なんか聞いてくれない。
私の仕事は、母のパートや親族に対する愚痴を聞くことと、家事のサポートと、兄の奴隷として生きること。兄からの性暴力に耐えることと、ただただ怯えながら暮らすこと。
自分には人権なんてないんだ、と思っていた。
心を殺して無になることでなんとか生き延びた。
大人になって、就職して、一人暮らしをして、精神病んでドロップアウト。
幸運にも今の夫と出会えて、なんとか這い上がって、やっと安心して暮らせる居場所を手に入れたはずだった。
結婚して、子供が生まれた。
障害に気付いて、七転八倒しながらも大事に大事に育ててきた。
愛情が無いわけじゃない。
でも、時々どうしても、もうこの子と暮らすのは限界だと思う時がある。
誰にでも優しくて仏のように温厚だった夫。
私がどんなにクズでも、周りの人間がどんなにクズでも、怒ったことなんてほとんどなかった。
そんな夫ですら、長女を相手に怒りを抑えきれず、声を荒げている。
苦しい日ばかりじゃない。
同じくらい、楽しい日もあるし、幸せなこともある。
でも時々、ほんと時々、もう、本当にこの子とは無理だ、と思う日がある。
長女と兄の言動がどんどん似てきたように思える。
子供の頃の自分が、長女に対して「あんたばっかりズルい!!」って叫んでるんだ。
でもそんなのは、長女には関係のないこと。
私の問題は、私の問題であり、長女には何の罪もないんだ。
ましてや、自分で望んで産んだ子。
私には長女を大切に育てる義務があるし、長女は目一杯子供らしい子供時代を過ごす権利があるんだ。
たくさん失敗して、たくさんワガママも言って、たくさん親を困らせながら、そうやって目一杯子供らしい子供時代を過ごして欲しい。
そして、心身ともに健康なまま大人になって欲しい。
幸せになって欲しい。
ただそれだけのことなのに、頭ではわかっているのに、なんでこんなに難しいかな。
少なくとも、自分の抱えたトラウマを子供にぶつけちゃいけないだろう。
わかっている。どうすればいいんだ。
どうしようもないけれど、どうにかしなきゃならない。自分のためにも。
今日は本当に、本当に、長女のことが憎たらしくて、もう無理だと思った。
でも、明日は、もう一度、すっぱり気持ちを切り替えて、笑顔で向き合ってみます。
暗い話になりましたが、最後まで読んで頂いてありがとうございました。
ここ以外に、本音を話せる場所がないので。
これを書いていて、やっと、自分の中の問題を可視化できた気がします。逃げちゃいけないです。
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