以前、ニキリンコさんの「スルーできない脳~自閉は情報の便秘です」
という著書を読みました。

自閉症スペクトラム当事者さんが書いてあるだけに、非常に参考になりました。

文字ばかりのけっこう分厚い本なので、読破するにはけっこう気合いが必要ですが、読んで良かった!と思える本でした。

ニキリンコさんは、自閉症スペクトラムの子供を理解するための保護者や支援者向けの本も出されていますが、

この本はどちらかというと成人当事者向けに書かれたもののようです。

未診断ですが疑いありの私にも「わかるわかる!」と思うことがたくさんあり、こういう困り感にはこういう対処方があるのか、と具体的な方法が書かれていて、非常にためになりました。

特に、

「頭の中の情報はテキスト化して外に出すことで脳内にスペースを確保する」

「必要以上の情報にあえて接しないようにする(たくさんの情報と格闘しなければならないような作業は金払って業者に外注するのもあり)」

「歌の歌詞が思い出せなくなったりしたら、なるべく早くに調べたり人に聞いたりして疑問を解決したほうが良い。そのまま放置すると、そのことで頭の中がいっぱいになってしまいその後の作業効率が著しく悪くなる」

など、日常生活で役立つ知恵が満載です。



また、ニキリンコさんは講演の依頼が数件入ったら、なるべく短期間に全講演の日程を詰め込んで設定してもらい(場所が離れている時でも)、一気にまとめて終わらせるそうです。

例えば一週間で講演を数件まとめて、その間は移動とホテル暮らしをして家には帰らないそうです。

「疲れやすい体質なら、何週間か間隔を開けながらゆっくりのスケジュールにしたほうが良いのでは?」と思う人もいるかも知れませんが、

自閉症スペクトラムの人は気持ちの切り替えが苦手(ものすごく時間がかかったりする)なため、一度講演に出掛けて家に帰ってくると、その後もしばらく「講演モード」みたいな気持ちを引きずってしまい、普段どうりの生活が出来るまでに何日も潰してしまったりするそうです。

帰宅後だけではなく、出発前の準備段階の気持ちの切り替えにもものすごく時間がかかってしまい、その間何も手につかなかったり。

なので、あえて講演を一気にまとめることで、「気持ちの切り替え」のために無駄に潰してしまう日数を全体的に減らすことが出来るので、その方が楽なのだそうです。

私も以前から「外出して人に会うモード」と「家の中モード」の切り替えに時間がかかり、帰宅後落ち着かなくてしばらく家事も何もできないようなことが多く、困っていたのです。

特に人に会って話たりすると、そのテンションをずっと引きずってしまいしばらくソワソワして大変です。

なので、たまに外出する時は出来る限りの用事足しを終わらせる(体力的に多少無理しても)ようにしたら、全体的に気持ちの切り替えで潰す時間が減って、楽だったりします。



当事者や、当事者疑惑の大人のためだけではなく、自閉症スペクトラムの子供の理解にも大いに役立つ本だと思います。

「チャッピーのこういう行動は、こういう特性が関係しているのかもな」と理解を深めるのにも役立ちました。

他にも発達障害系の本はたくさん読みましたが、支援する側の非当事者が書いた本にはなかったニッチな視点が、とにかく盛りだくさんです。

当事者だからこそわかる、日常生活に潜む意外な困り事やその原因の自己分析、対処方がとても分かりやすく書かれています。

文章も独特のユーモアがあり、読みやすかったです。


※この本を読み終えたのは半年くらい前で、なおかつ私の頭の中で解釈したものを私の言葉で書いているため、上記の感想はもしかしたら本書と微妙にずれているかも知れません。「だいたいこういうことが書いているのか」と参考までにとらえて下されば幸いです。



452ページびっしり文字だらけでボリュームはありますが、

読書好きで興味のある方には是非、おすすめです。




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